「書庫の奥」

朝日新聞朝刊の一面左下の「折々のことば」にこんな川柳が取り上げられていた。

「冷蔵庫 奥に行くほど ミステリー」(49歳女性)である。

中高年の男が多い古本業界なら、冷蔵庫はいざ知らず、「書庫の奥」と置き換えれば、思い当たることも多いのではないだろうか。

一寸時間に余裕があったので、倉庫の奥のダンボール箱の整理を始めた。

もう記憶の隅にも残っていない本達がぞろぞろと出てくる。

背表紙が見える状態に棚に並べて、時々でも横目で前を行き来していれば、記憶の片隅に残るのだが、ダンボール函に収まってしまえばそれまでだ。

まして、たまにしか行かない実家の倉庫の奥底に何年も眠っていたダンボール箱を開けてみて一寸ビックリ。

業者間の市会で落札した十数冊がビニール紐で括られ、落札札まで付いて出てきた。

すっかり忘れていた、一体いつ頃落札したものか???

しかしまあ売れ筋の目の覚めるような出現はないものか。

期待するが、恐らく徒労に終わるだろう。

日々こんなことを繰り返している。

星空書房

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