朝日新聞元旦の「天声人語」を、本好きの皆さんは、いかが思われたでしょうか?
書店に勤める若き歌人、佐佐木定綱氏の作「十年後存在しないかもしれない本と言葉と職種と我と」が文中から迫ってきました。
新春早々 ムムムムムムでした。
IT革命や技術革新に振り回される不安を描いていましたが、私たち古本業界も常日頃この問題に直面している、まさに当事者です。
紙の「本」が片隅に追いやられようとしている現在です。
電車に乗れば、見渡した車内で本を開く人はたった一人、スマホに見入る人は八人以上、というのが当たり前の世の中になりました。
昨年秋、私たち関西古書研究会が主催していた某会場の古本祭りは、会場のオーナーが変わり、全く一方的に廃止されました。
新しいオーナーにとって「本」はそんなに魅力の無いものだったのでしょうか。
古本祭りのお客さんは会場滞留時間も長く、近隣施設の食堂街に貢献していたとの声を聞いたこともあるのですが・・・・。
大量の本の中から、探している本を見つけ出す楽しみ。
そしてその隣から出会った事の無い本が訴えかけてくる驚き。
時間の許す限り離れたくない場ではないでしょうか。
一寸疲れてお茶でも。
ほら、喫茶店も潤います。
古書会館では週に二度・三度と業者間の交換会が開催されます。
山積みされた本・本・本。
勿論、いかに早く売り抜けるか商品としての目利きが問われる場です。
しかし、個人的に関心のある分野の本が含まれたくくりが出品されていれば、ついつい高値で入札してしまうのも、本好きでこの業界に飛び込んだ私たちの性というもの。
倉庫に空きスペースが無いと言うのに、思わず入札してしまいます。
本屋や、古本屋、そして古本祭り会場に、ぜひ足を運んで下さい。スマホの世界と違った、思いがけない出会いがきっとある、楽しい場所です。
私たちも頑張って続けていきたいと思っています。
著者も、出版社も、新刊書店もどうか頑張って下さい。
皆さんが流通させた本が、古書業界に還流し私たちの世界も成り立っているのです。共に頑張りましょう。